短編集 一区間のラブストーリー
第18章 短編その十八
「佳彦…あんたに言っておかなきゃいけないことがあるの」
オヤジは残業で遅くなるので
佳代子と二人っきりの夕飯を食べてる時に
暗い声で母の佳代子が切り出した。
「ん?なに?」
昼間の女体いじりに満足して
このまま女で過ごすのも悪くないなと
そんなことを思っていた佳彦は
軽いノリで返事を返した。
「今夜ね…お父さんとHする日なのよ」
「ふ~ん、それで?」
そんなことをわざわざ息子の俺に
宣言しなくてもと思いながら、
ふと、今の佳代子は自分ではないか!!と気づいた。
「え?え~~~?!!」
ようやく状況を把握した佳彦は絶叫してしまった。
食事はそれからまったく喉を通らなくなった。
『無理、無理、無理!!』
オヤジに抱かれるなんて考えるだけでムリ!!
お風呂には母も一緒に入ってくれて、
ちゃんと体を洗ってくれた。
「あんた一人で入浴させて
母さんの大事な身体を
ゴシゴシ洗われちゃイヤだから…」
自分が母親の体を丁寧に洗っているというのは
まったく不思議な絵ヅラだった。
入浴を済ますと、
今夜はこの下着よと手渡されたのは
真っ赤なTバックだった。
『かあさんって、
いい歳しながらこんなのを履くのか…』
実際に履いてみると尻にTバックがくい込んで、
まるで褌(ふんどし)を絞めている気分だった。