もう推しとは言えない *番外編更新中
第10章 元彼VS好きな人
あ〜、可愛い…。
可愛いから、からかいたくなるんだよね…。
だって、気を抜いてたらいつも私がポチにドキドキさせられてるんだもん。たまには、ポチが私に翻弄されててよ。
「…ふふっ、嘘だよ!ポチのこと、いつも私を助けてくれる優しい人だと思ってるよ?
だから…私、ポチにはいつも感謝してるの、こう見えても。」
「あっそ…もっとちゃんと感謝しとけ、バカ。」
「ふふ、照れてるでしょ、ポチ。」
「良いだろ、別に…。ほら、もうとっとと帰れ。」
「はーい。…ねぇ、ポチ、また数学教えて。」
「あぁ。」
仕方ねぇから教えてやるよ、とポチ。
ちょっと上から目線なのも、ポチの照れ隠しだと思うと、可愛くて仕方ない。
好きだなぁ…本当。
「…気を付けて帰れよ、吉岡。暗くて危ないから。」
「うん、気をつける。」
「…じゃ、また明日な。一日お疲れ。よく頑張ったな。」
ポンポン、と私の頭を撫でて…ポチはその場を去っていった。
…ほら、結局そうやって、ポチは私をドキドキさせる。
(もう…)
こんなに好きな気持ち、一体どこに隠し通せばいいんだろう?
…ポチの背中を見つめながら、そんなことを思った。