もう推しとは言えない *番外編更新中
第12章 元彼VS好きな人 2
(あ…あの女の子、)
もしかして…新しい野球部のマネージャーだろうか。
慣れた様子で、ポチに給水ボトルとタオルを手渡して笑顔を向ける女子生徒。
少し心がモヤッとする…。
「サンキュ。応援してくれる人達にも、麦茶配っといて。」
「あ、はい、分かりました。」
頼んだ、とポチは言って…勝負に戻っていく。
…私が、ポチにあんな風に水渡したかったのに。
なんて…ただの僻みか。
「…あ、そうだ、吉岡!」
「えっ…な、に?」
またこっちに戻ってきたポチは…イェイ、と笑顔を向けた。
くっ…可愛い。そして、爽やかでカッコイイ。
「…お前の応援、聞こえてたから。ありがと。」
「うっ…うん。次も頑張って、ポチ。」
「あぁ。お前は…そこで見てろよ。」
(聞こえてたんだ…)
そう思うと、嬉しい。
さっき、ヒット打ってくれたの、私の声が聞こえたからなのかな…?なんて、さすがにそんなわけはないけど。
でも…ポチがわざわざ、お礼言ってくれたから、嬉しかった。
「ちょっと〜、真帆。浮気はダメだよ?いくら推しだからって…。」
「浮気じゃないよ。…睦人のことは、もう本気で過去のことなの。」