もう推しとは言えない *番外編更新中
第12章 元彼VS好きな人 2
ツーストライク、と追い詰められた。
もう一つ、ストライクをとられれば終わり…。
「っ…ポチ、頑張って…!」
周りがかなり興奮して応援してるから、私一人の声は掻き消されていたと思う…。
ただ、ポチは…まるで私の声が聞こえたみたいに私の方を見た。
そして…小さく微笑む。
打つから待ってろよ…とでも言いたげに。
「睦人く〜ん!」
「頑張れ〜!!」
周りの女子達は皆、睦人の応援。
ただ、私は違う…ポチ、頑張れ!と心の中で叫び続ける。
睦人の三球目…変化球!
「…っ、しゃあっ!」
カキンッ、とボールの中心をポチがとらえて…ホームランとまではいえなくても、ヒットが打ち上がる。
すごい…あの球を、惑わされずに打ち切れるなんて。
「…延長戦、だな?田口。」
「あたりはどう考えても俺の方が強かったですけど、まぁ…打った方が勝ちって言っちゃったんでね。」
「あぁ。少し水分補給しよう。」
さすがに疲労感もあるような、そんな表情でポチがこちらに向かってくる。
あ、お水…!と思って給水ボトルがある方に向かったけれど。
「九嶋先生、お疲れ様です。凄かったですね。」