もう推しとは言えない *番外編更新中
第13章 友達の好きな人 ※由香里side
「…行きますぞ。」
「はい、スミマセン。」
「じゃあ…お二人とも、頑張ってください。」
「あ、ありがとうございます。」
失礼しますな、と澤畠先生が教室を出ていく際に…チラリと私の方を見て。
目が合った、気がする…。
(澤畠先生…顔、赤い?気のせいなのかな…?)
でも、心做しか赤くも見える澤畠先生の表情。
先生も…少しはドキッとしてくれたのかな、あの距離感に。
なんて思っている間に、澤畠先生は九嶋先生を連れて出ていってしまったけど。
「…由香里、ごめんね?邪魔しちゃったみたいで…」
「う、うん、大丈夫…」
でも…真帆達があのまま来なかったら。
澤畠先生は…キス、してくれたのだろうか…。
思い出しただけでも、顔が赤くなる。あんなにも近くに先生がいて…何だか、綺麗だった…。
こんな表現が正しいのかは分からないけど。
「…ねぇ、由香里って…」
「い、い、言わないで…真帆が思ってる通りだから、」
「…そうだったんだ。初めて知った…、」
そりゃあ、言ってなかったし、秘密にしてたから。
だって…相手は先生だし。
真帆の場合は、最初は九嶋先生のこと、推しだったけど…私は、最初から…推しとかそんなんではなく、好きな人。