もう推しとは言えない *番外編更新中
第15章 それぞれの葛藤 ※先生side
《 九嶋 拓斗 side 》
(あー、疲れた…未だに疲労感やべぇ…)
久しぶりにあんな動いたわ…勝てて良かったけど、負けたらたまったもんじゃねぇな、あれ。
ふぅ…とため息をつきながら、チラリと横にいる澤畠先生のことを見やる。
心做しか…顔、赤くね?
この人でも顔赤くするとかあるんだ…。
「…澤畠先生、さっき邪魔してすみません、本当。」
「いや…むしろ、助かりました。はぁ…」
「…澤畠先生でもそんな顔するんですね。すごく意外です。」
「私を何だと思ってるんですか…。」
いや、だって…恋愛なんかに興味無さそうじゃん。
常日頃から数学のことしか考えてない、まさに正真正銘の数学バカだとばかり、俺は思ってました…とは、言えねぇな、さすがに。
(しかし…椎名のやつ、一体澤畠先生に何したんだ)
何もされてないのに、あんな空気感になるか…?
…椎名が澤畠先生に告って振られたところは、決して盗み聞きではないが…うっかり聞いてしまった。
椎名は泣いてボルト並みの速さで逃げてったから、俺には気付いてなかったみたいだけど…澤畠先生は気付いてる。
「…いや、だって澤畠先生って、滅多に顔赤くしないですよね?」