もう推しとは言えない *番外編更新中
第15章 それぞれの葛藤 ※先生side
「…そんな、赤いですか?」
「はい。椎名にキスでも迫られたんですか?」
「まさか…そうじゃないですな。」
あ、違うんだ?
まぁ…椎名は意外と、そういうとこ乙女な感じするしな。
じゃあ、え…澤畠先生の方からってことか?
「…言いたいことあるなら、言っても良いですぞ?」
「…澤畠先生は、どういうおつもりで…」
「…どういうつもりも何も…いや、むしろ私が知りたいくらいですな…。
…雰囲気に、呑まれたんですかね…我ながら結構最低ですけど、」
雰囲気に…っての、でも俺もわかるな…。
ついうっかり…その場の空気感と俺のワガママで、吉岡の気持ちなんか聞かずに手を繋いじゃったりするし…。
しかも、俺のことをただの推しとしか見てないアイツに。
…今朝も、多分あの時田口が現れなかったら、俺はあのまま…吉岡に告白でもしてしまっただろう。
「でも、やっぱり意外ですね。…俺、聞いたことあるんですよ。」
「何をですか?」
澤畠先生はチラッと俺を見る。
…この人、歳のわりに本当若く見える…本当に50代ですか?
あぁ、つい数え間違えましたな、って言ってくれた方が何百倍もしっくりくる。
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