もう推しとは言えない *番外編更新中
第1章 推しと彼氏
「よし、集合。」
「ウス!」
もうすっかり、暗くなった外…野球場。
私、吉岡真帆は野球部のマネージャーとして、練習終わりの部員達にタオルを渡していく。
「ありがと〜、真帆ちゃん。」
「あざっすっ、吉岡先輩!」
練習終わりで、汗を額に浮べる彼らは、本当にカッコイイ。顔とかそういうことじゃなくて、野球に真摯に打ち込む姿が。
そして、その中でも群を抜いてカッコイイのが…。
「…はい、どうぞ。」
「サンキュ。…今日、一緒に帰るぞ。勝手に帰んなよ?」
「う、うん。」
(イケメンだァ…)
眩しい…。
本当に、こんな彼が私の彼氏だなんて信じられないくらいに。
彼は…野球部の主将、田口睦人。
ピッチャーを務めていて、彼の投げるボールは敵チームからしたら本当に嫌なボールだけど、その分味方からしたら頼もしい。
例え満塁、という状況になったとしても、そこから三者連続三振、という凄技を見せ、こっちに流れを引き寄せる頼もしい主将だ。
「イチャつくなら後にしろ。…あぁ、あと、吉岡さん。」
「はいっ。」
「トーナメント表、あとで皆に配ってくれ。今は手元にないが、明日渡す。」
「分かりました。」