もう推しとは言えない *番外編更新中
第19章 未来
「真帆、こっち。…早く来いよ。」
_卒業式が先程終わり、クラスのみんなと写真を撮ったりとか、寄せ書きを書いたりしてから…私は、拓斗のところに来ていた。
多分、由香里は由香里で…澤畠先生のところに行ってるんだろうな、なんて。
私は…拓斗と、数学準備室で二人きりに。
「…ごめんね、待たせた?」
「いや…友達とかと写真撮ってたんだろ?」
「うん。ねぇ、拓斗も写真撮ろ。」
「はぁ?いつでも撮れんだろ、これから。」
その言葉に嬉しくなるけど、今日じゃなきゃダメ。
やっぱり…今日だから、っていう私もよく分からないけど、特別感があるものだから。
「…ダメ、今日じゃなきゃ。ほら、笑ってよー。」
「ったく…だったら、もっとこっち寄れよ。」
ギュッと私の肩を抱き寄せて…拓斗は笑う。
カシャ、とスマホのシャッター音だけが、鳴り響いた。
「…真帆、笑顔硬い。もっと笑え。」
「急に拓斗が抱き寄せてくるからだよ…でも、もう一回撮ろ!」
「ん。…真帆、」
撮るぞ?と拓斗。
カシャッ…とシャッター音がもう一度、この二人きりの教室に響いて…。
スマホを確認すると、今度こそ良い感じに撮れていた。