もう推しとは言えない *番外編更新中
第21章 番外編 最後の○○
_サクラはまだ、咲いていないこの時期。
それでも、咲き始める準備を着々と進めてるように見える、この時期…。
私は、高校を卒業した。
つい先程まで卒業式が行われていて、そのあとクラスの皆や友達と写真を撮ったり、寄せ書きなんかをしたり…何となく卒業式らしい時間を送って。
皆がぼちぼち帰り始めた時、ふと思う…。
(澤畠先生に会いたい…)
いるとしたら、進路指導室だろうか…行ってみようかな、と思っていると、運が良いことに、澤畠先生が教室に来てくれた。
「…あ、椎名さん。良かった、まだいて…少しいいですか?」
「はいっ。…真帆、じゃあまたあとでね。」
「うん、バイバイ、由香里。」
ふふっと笑った真帆は…私の耳元で、小声で頑張れ!と一言。
…いいよね、真帆は九嶋先生と両想いなの確定だし…なんて思いながらも、小さく頷いて澤畠先生のところに駆け寄る。
「…先生、」
「少し…二人きりになりたいので、移動しても良いですか?」
「っ…あ、はい」
二人きりになりたいので、って…ズルいなぁ。
そんな言い方されたら、ドキッとするに決まってるじゃないか…。
(というか…澤畠先生、今日のスーツいつもと違う…)