もう推しとは言えない *番外編更新中
第3章 甘えろよ
「…ねぇ、ポチ。私、バカみたいだね…一人で勝手に浮かれて、私が睦人の彼女って思い込んで…。」
…告白した時、睦人は良いよ、付き合うか、って言ってくれたけど、それまでに少し間があった。
あれは…本当は私の事なんか好きじゃなかったからなのだろう、って今は思う。
あぁ、バカみたいだ…。
睦人が私みたいな可愛くもない子、好きになるわけないのに。
「ははっ…あーあ、私って自惚れてたんだなぁ…」
…キスこそされたことなかったけど、何度か、練習後とかに二人でカフェに行ったりとか、数少ない休みの日に二人で映画に行ったりとか…そういう、デートっぽいことも何度かした。
だけど、あんなの…ただの女友達との遊びみたいなものだったんだろうな、睦人にとって…。
デートなんかではなく、彼女と会えない間の暇潰し。その程度…。
「…好き、だったんだけどなぁっ…」
…睦人は私のこと好きじゃなくても、私は睦人のこと、好きだった。
いつも誰よりも厳しいのに、時折見せる優しさとか、笑顔とか…少し不器用な可愛らしいところとか。
…嘘だったんだろうけど、好きだよ、っていう甘い声とか。
好き、だったのに…。