もう推しとは言えない *番外編更新中
第4章 約束
_また、時間というものは非情なくらいあっという間に過ぎるんだ。
色々ありながらも、今日は…夏の甲子園の県予選、準々決勝が行われた。
人間性には問題があっても、やっぱり睦人の実力はプロが惹かれるだけあって、並大抵の人間では叶わないもの。
おかげで、ベストエイトまで失点無しで勝ち残った。
今日は、準決勝をかけての試合、だったのだけど…。
「うっ…すみませんっ、先輩っ…」
「謝んな。お前らは来年がある。俺たちの無念もそこで晴らしてこい。」
「キャプテン〜…良い男すぎっすよ。」
「泣くな。お前らが努力したことは、この場で出せたと思ってる。去年、甲子園に出場するだけでなく準決勝まで残ったチームに、ここまで互角に戦えたんだ。誇れよ。」
…そう、八回裏までは、本当に互角で、もしかしたら、勝って準決勝進出も…!と思えたのだ。
だが、相手の凄まじい本性を見せつけられたのは、九回になってから。
こちらが攻撃の時は、ことごとく三振を取られ、あっという間にスリーアウト。
こっちが守備の時は…今まで、睦人の投げるボールには反応しきれていなかったけど、急に人が変わったかのようにヒットを連発された。