もう推しとは言えない *番外編更新中
第5章 花火
「え〜、九嶋先生って結構、真帆のことばっか気にしてると思うけど?野球部のマネージャーってのもあるけどそれだけじゃないでしょ。」
「何言ってるの、それだけ…だよ。だから、そんなに、気合い入れなくても。」
何大人ぶってんの?似合ってねー、って笑われそうだし…いや、ポチのことだ、私をからかってくるかもしれない。
似合わない、ってストレートに言ったら私が傷付くから、会えて笑いに走ってくるかも。
「はい、真帆。こっち向いて〜。」
「…話聞いてないでしょ。」
_お前、俺の話聞いてた?
不意に、ポチの声が脳裏によぎる…。
あぁ、やめてよ…会いたくなるから。今日は会えるのに早く会いたいって、まるで恋い焦がれてるように思ってしまうから。
「九嶋先生は派手なメイクとか嫌いそうだからなぁ…。ナチュラルメイクにしとこっと。」
「もう、好きにして…。」
「せっかく推しと会えるんだから、もっと張り切りなよ!真帆はいつも冷静だねぇ…。」
推しと花火行けるなんて羨ましすぎるんだけど?と恨めしそうに見られる。
まぁ、由香里の場合…推しは二次元だからね、物理的に無理だよね。
私も…まさか、ポチと行けるなんて、夢にも思ってなかったけど。