もう推しとは言えない *番外編更新中
第5章 花火
「…ポチって、彼女いるのかなぁ。」
「え、いたら真帆のこと誘わないでしょ。」
「でも、あくまでお礼として誘われただけだよ?今までマネージャーとしてよく頑張ってくれたな、って。」
きっと…向こうにとっては、それ以外に他意はない。
悲しいくらい。って…何で、悲しいの?
あぁ、もう、訳分からんっ…。
「今日聞いてみたら?彼女いるのか。」
「いるって言われたら、私泣くかも…あ、でも、推しの幸せはちゃんと祈らなきゃね。」
「そうねぇ。真帆、じっとしてー。」
由香里にされるがまま…私は、メイクも髪の毛も、浴衣の着付けも…全部由香里にされたのだった。
おかげで、お母さんには『私の娘じゃないみたい!』と褒められ(?)、お父さんには『変な男に連れてかれるなよ!』と心配された。
似合ってる…ってこと、だろう、きっと。
…ポチは、どう思うかな。似合ってる、って言ってくれるかな。思ってくれるかな…?
何だかんだ、もう七時近くなって…私は、家を出る。
暗くなってきた外…だけど、ポチのことだけはちゃんと見つけられるの。推しだから…。
「ポチ!」
「ポチじゃねーよ。んなデカイ声で呼ぶな。」