もう推しとは言えない *番外編更新中
第7章 溺れかけ
《九嶋 拓斗 side》
(エロすぎだろ、バカが…)
…こいつにだけは、手を出すつもりなかったのに。
俺の肩にもたれかかって…バカみたいに無防備に眠っている女子生徒…。
お前、今まで俺に何されてた?無防備すぎんだろ。
…イかせて、とか、簡単に言うな、バカ。
「こっちの気も知らねぇで…バカみたいに煽りやがって。俺以外にしたらぶっ殺すぞ…。」
吉岡真帆。
…本人は至って無自覚だが、その明るい性格と、誰かのためにひたむきに頑張るその姿勢が、かなり男ウケしている。
俺は…こいつが、生徒じゃなかったら良かったのに、と何度思ったか分かんない。
(何なんだよ、クソ…)
吉岡が…高校入学する何ヶ月か前に、俺と吉岡は初めて会った。
…コンビニで俺が昼食を買って、その後ろに吉岡はいたらしい。
ついうっかり…車の鍵をレジに置きっぱにして出ていってしまった俺に、吉岡は慌てて俺を呼び止めた。
『あのっ、これ違いますか…?』
あの時の不安そうな顔と、俺を見上げる真っ直ぐな瞳。
…訳分かんねぇけど、俺はその時に一目惚れした。
新任で入った高校の入学式で…軽く俺は絶望した。
吉岡を見た瞬間、あの子だと分かったから。