甘い蜜は今日もどこかで
第8章 【ずっといつまでも】
こんなウブな人だったっけ?
よくよく話をしてみると、私のお陰でチャラ男を卒業したという壮大な設定になっていた。
陰ながらずっと彼を支え、愛を育んできたそうな。
「え、大丈夫ですか?それって結婚…とかの話になりません?」
「それは大丈夫、俺もう少ししたらアメリカに行くし、それも親はわかってる、結婚はもう少し落ち着いたらって話すから大丈夫だよ」
「あの、その落ち着いたら…の時は本当にレンカノ出来なくなってますけどそれこそ大丈夫ですか?あ、すみません、それまでにリアルな彼女さん出来てますよね」
「先のことはわからないけどもし出来てなくてもレンカノはもう卒業する……今日は煩い親を黙らせる為だって言ったけど、本当はもう一度あなたとデートがしたかった……僕の我儘でもあるんだ」
見た目も変わって久しぶりに会ったけれど、雰囲気が変わればそこそこのイケメンだと思う。
大丈夫な気がするな。
本当に、レンカノなんかに頼らなくてもほんの少しの勇気があればいくらでもチャンスは転がっているんじゃないかな。
それを教えられたら今日来た意味があるのかも知れない。
両親に会うまでは普通にデートがしたいとのことで手を繋いで甘い関係を築いていく。
会ってなかった間の話をたくさんしてくれて情報共有。
フラペチーノの生クリームが口の端に着いてて話を聞きながら拭いてあげる。
「あ……ごめん」
「変わってないね?前もこうした事があった気がする」
チャラ男の時だったけど、その時もひたすら喋ってくれて……きっと緊張を和らげる為なのかなって推測するけど今それ思い出しちゃった。
徐々に色んなこと思い出してくるのかな。
「アキちゃんってさ、こんなこと他の人にもたくさんしてるってわかってるのに、一人一人覚えてるもんなの?しかも僕なんか随分前なのに」
「そんな機械人間じゃないですよ、忘れてることもあります、でも今のは可愛かったんで覚えてました」
「か、かわっ…かわっ…可愛い!?」
「アハハ!そんな驚かなくても」
仕事ですから。
覚えてない方が多いかも知れませんが、接していくうちに思い出してくるものです。
例え、一見さんだったとしても。