大人の俺と子どもの私
第5章 施設の子
吉澤拓(よしざわたく)
小学5年生。
今年の4月から櫻本学園に入ってきた。
そして今日から学校に通うらしい。
他にも、鳥の家の和馬と、月の家の俊っていう同い年がいる。
2人ともうるさいし喧嘩っ早いし、紗南はめっちゃ嫌い。
顔合わせるたび喧嘩するくらい嫌い。
だから関わることはほとんどないと思ってた。
今日は本当は栞と2人で帰りたかったのに、唯とも話したいことがあるって3人で帰ることになってしまった。
「ねぇ紗南、拓って子、会った?
シングルマザーの親が病気でここに来たらしいけど、もう和馬達と仲良くやってるらしいよ。」
唯はその2人と仲いい。
他の家の情報も和馬達から仕入れてくる。
「へぇー。興味ない。」
「誰?!新しい子きたの?!
和馬と同い年なら年下か〜!
私も年下には興味ないな〜!」
「会ってないし、紗南は年上も年下も興味ないから。」
栞がいても唯と話したくなくてそっけない返事ばかりしてしまう。