大人の俺と子どもの私
第5章 施設の子
そんな紗南に栞は言い出す。
「ほんとにぃー?
秋ちゃんはどうなのさぁー!」
すると唯が食いついてきた。
「えっ紗南、秋ちゃんに恋愛感情あるの?
うわー引くわー。
未成年と大人って付き合えないこと知ってんの?
そもそも全然釣り合ってないしあんたに好きになられたところで迷惑だよ。」
…分かってるし。
分かってるよそんなこと。
分かってるけど、唯に言われるとめちゃくちゃムカつく。
「別に好きじゃないし!
勝手に好きなことにしないでくれる?
1人でペラペラ喋んなし!
紗南が職員好きになるわけないじゃん!」
「へぇー、いつも秋ちゃん秋ちゃん言ってて、怒られてもあんなにべったりくっついて慰めてもらってんのに?
あぁー、あれ好きだからくっついてたんだー。」
「うっっっざ!!!
人が怒られてるとこ見てるなんて趣味悪!」
「見たくて見てるわけじゃないし。
ドア開けっぱのまま怒鳴られてて、うるさいなぁって思ってるだけだし。」
栞を挟んで口喧嘩に発展する紗南と唯を両手で抑える。