大人の俺と子どもの私
第1章 出会い
(あっ…)
どうしてあげるべきだったのか。。
この状況に動揺してると、
莉子ちゃんが呆れた顔で俺を見て、
「ほっといていいよ。一旦ご飯食べよ?
みんなもう食べ始めてるから。」
そう言いながら席に戻ろうとする。
「あの!本当にすみませんでした。
夜ご飯も作らずこんな時間まで外に出てて…。
自分が紗南と長く話してしまったから遅くなってしまって、紗南が帰らないって言ってた訳じゃなくて…」
俺はぐっちの時と同じく事情を説明したが、
「あぁーいいのいいの!この職場は臨機応変に対応することが多いし、ご飯もできる人が作ればいいだけだから!!
それに、紗南はいつも門限守って帰って来ないからあれくらい厳しくていいのよ」
と、ぐっちと同じようなことを言われて丸め込まれてしまった。
今の現場を見ていた他の子たちも、一度は止まった箸がまた進み始め、いつも通りに食事をしてる。
「秋山先生、一緒にご飯食べよー!」
リビングの入り口に突っ立ってた俺に、唯が声をかけた。
紗南のことが気になってはいたが、一緒に食べると言った手前、今は夜ご飯を優先した。