大人の俺と子どもの私
第2章 新学期
「フフッ、ほんとに聞いてんのー?
で、そんなに似てたの?栞ちゃんって子と。」
「紗南には似てるとか分からなかったけどー、桃ちゃんって子が言ってた。
このチョコクッキー食べていい?」
「いいよ。」
「ありがと。
でね、他にもいろんな子に聞いてて、怖くて途中で逃げちゃったけど、でも栞ちゃんがいてくれて、嬉しかった。
「…へぇ。フッ」
小学生の話すことは抽象的過ぎてあまり伝わってこない。
端折られすぎてつい笑ってしまう。
でも、逃げちゃった。とか言いながらもその時のことを楽しそうに話すんだから、きっと紗南にとっては結果的にいい事に繋がったんだろう。
「逃げちゃったの?大丈夫だった?」
そう聞くと、
「うん。栞ちゃんがいてくれたから。
トイレの鏡で似てるかな?ってやったけど、よく分からなくて帰った。」