大人の俺と子どもの私
第3章 栞の家族
ここ数週間一緒にいて分かった。
栞ちゃんはアイドルが大好きな影響か、すごく乙女チックでイケメン好き。
他の子いわく年上のカッコいい男の人が好きみたい。
そんな栞ちゃんが横!って小さく鉛筆の差す方を見ると、
隣の窓から覗いてるのは秋ちゃんだった。
「…」
「あれ、紗南?
どうした?紗南ー?」
秋ちゃんの方を向いて動かない紗南を見て、小さな声で呼びかけるが反応はない。
紗南は窓越しに、胸の高さで右手をブンブン振ってる秋ちゃんに向かって、ほっぺを膨らましていた。
(なんできたのさ…)
授業中、言葉は発せずとも睨みつけながらテレパシーを送る。
(紗南の貴重な学校生活を見れる機会だもん、来ないわけないでしょ!)
前向いて!と黒板を小さく指さして合図してくる。
(…もう!)
紗南は怒った顔のまま、横向いてた顔を黒板に戻した。
(ハッ、怒ってるけど、本当は来てくれて嬉しいんでしょ?
口元、嬉しそうに緩んでるの、隠せてないよ?)
そんな紗南を見て、俺も口元が緩んでしまってた。