大人の俺と子どもの私
第3章 栞の家族
でも、それから30分経っても帰らず、
「そろそろお母さん帰ってきた?」
と聞いても、
「まだかなぁー。
最近忙しそうだから。
それよりさ、この宿題さ…」
って言って誤魔化されてしまう。
家に帰りたくないのかな〜って思うけど、深くは聞かれたくなさそうなオーラを出してるから、聞き出せない。
「ご飯できたよー!」
ついには夜ご飯の時間になってしまった。
廊下で莉子ちゃんの声がする。
どんどん時間が過ぎていって、いつ職員にバレるかビクビクしながら、廊下に聞こえないように小さな声で話す。
「栞ちゃん、夜ご飯できちゃったよ…。
どうしよう…。
栞ちゃんはお腹すいてない?
今からでも秋ちゃんに説明して、栞ちゃんの分も…」
そういって立ち上がろうとすると、下を腕を掴まれた。
「…栞ちゃん?」
「あぁ…私は大丈夫!
ごめんね、ご飯食べてきていいよ!
私ここで静かに待ってる」
「……ぅん…わかった。
すぐ戻ってくるね。」