大人の俺と子どもの私
第3章 栞の家族
「それくらい、俺は栞を心配してんの。
もう寂しそうな顔しないで?
自分の気持ち押し殺そうとしないで?
時間潰しで夜遅くまで外出歩かないで?
約束して。」
「………はぃ…」
少し涙目の栞に優しく微笑む。
「うん。
…ハハッ、泣きそうになってんじゃん。」
少し茶化すように笑いながら言うと、
「……泣いてないし!
もう!本当にお母さん帰って来ちゃうよ!」
ほっぺを包んでた両手を無理やり下ろして歩き出して行ってしまった。
フッ袖で涙拭ってるし。
ほんと、強がりだな。。
紗南より幾分も明るくて元気で、悩みなんてなさそうな小学生に見えるけど、家族にも言えない自分の気持ちを押し殺して必死に明るく装って過ごしてる。
ゆっくりでいい。
栞が家族と、お母さんと向き合えますように。