テキストサイズ

老人ホーム

第5章 ちょっとしたハプニング

次の日、看護師の本田に、聞きたいことがあり、聞きに行くと、本田は、

「それは朝礼で言ったはずですけど!ちゃんと聞いていて下さい!」

と、厳しい口調で言った。今まで、そんな言われ方をしたことなかったので、ビックリした。

その後、何度か本田に話し掛けたが、無視されたり、強い口調で説明されたりした。

僕には、何故こんなに本田が突然冷たくなったのか、しばらく分からなかったが、もしかしたら、あのとき、ワザとお尻を触ったと思われたのかもしれない。と考えるようになった。僕としては、ワザと触った訳ではないので、気にしていなかったが、やっぱりあれが原因だとしか考えられない。

それからの本田は、怖かった。話しかけるとたいていは、キツイ口調で返答された。僕と話をしたくないという雰囲気がオーラのように感じられる。その対応は、他の職員がいても同じだった。なので、僕は、他の職員がいるところでは、本田には、全く話しかけられなくなった。本田も僕には話しかけてこないし、他の職員と話をしていても、僕は本田に、無視されていた。

たまに他の女性職員に、

「ねー、平林くん、本田さんと何かあったの?」

と言われることがあった。僕に対する本田の態度が普通じゃないことはみんなが感じているようだ。僕は、

「特にはないと思いますけど…。」

とその都度言っていた。おそらく、そういう発言も本田の耳にまた入って余計に怒らせる結果になっていると思う。女性は、僕から聞いたことを、そのまま本人に伝える人もいると思うし、僕のことを心配しているのか、ただ興味があるだけなのかも分からなかった…。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ