老人ホーム
第7章 本田と田中
そんな中、別館での勤務のとき、同じ時間帯の勤務に班長の田中綾乃がいるときは、たまに田中が別館に来ることが多くなった。
以前は、入口で
「平林君、大丈夫?ちゃんと出来てる?」
等の声を掛けて入ってきていたが、最近は何も言わず、スッと入ってきて近くに来てから声を掛けられ、ビックリすることが多い。
何となく、偵察に来ているように見える。
今日も、僕が別館の居室でカーテンを締めて排泄介助をしていると、静かにカーテンを開けて田中が覗いた。
「本田さんこっちに来ていない?ちょっと捜してるんだけど見当たらなくて!」
と言うので、僕は、
「今日は、まだ来てないですが…。」
と言うと、田中は、
「そう?こっちに着てると思ったんだけど…。ありがと!」
と言って、別館を出て行った。
最近本田が、僕に対して優しくなったことを、たぶんみんなが気付いていると思う。僕に対する接し方が、180度変わっているのは、誰の目にも明らかだった。僕と本田の間に何かあったんじゃないかと思われても仕方ない。
田中は、たまに職員との会話の中で、
「本田さんって、美人よね?スタイルも良いし…。」
と、本田の名前を出すことが多い。僕は、自分に振られたときだけ答えるようにしている。当たり障りなく、
「そうですね~。」
と。
以前は、入口で
「平林君、大丈夫?ちゃんと出来てる?」
等の声を掛けて入ってきていたが、最近は何も言わず、スッと入ってきて近くに来てから声を掛けられ、ビックリすることが多い。
何となく、偵察に来ているように見える。
今日も、僕が別館の居室でカーテンを締めて排泄介助をしていると、静かにカーテンを開けて田中が覗いた。
「本田さんこっちに来ていない?ちょっと捜してるんだけど見当たらなくて!」
と言うので、僕は、
「今日は、まだ来てないですが…。」
と言うと、田中は、
「そう?こっちに着てると思ったんだけど…。ありがと!」
と言って、別館を出て行った。
最近本田が、僕に対して優しくなったことを、たぶんみんなが気付いていると思う。僕に対する接し方が、180度変わっているのは、誰の目にも明らかだった。僕と本田の間に何かあったんじゃないかと思われても仕方ない。
田中は、たまに職員との会話の中で、
「本田さんって、美人よね?スタイルも良いし…。」
と、本田の名前を出すことが多い。僕は、自分に振られたときだけ答えるようにしている。当たり障りなく、
「そうですね~。」
と。