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老人ホーム

第7章 本田と田中

そんなある日、またもや別館の担当の日、排泄介助をしようとしたとき、オムツから漏れている利用者さんがいて、対応に困ってウロウロしていると、本田がやって来て、

「どうしたの?あら、大変じゃない!手伝ってあげるわ!シーツも替えないとだめよ!」

と言って、僕に、用意するものを適切に指示してくれた。

僕は、モタモタしながらも本田の指示に従い、オムツを替え、シーツを替え、本田と一緒にやっていると、そこへ田中が来て、カーテンを開けて覗いた。田中が、

「今井さんは、処置が必要な人じゃないはずですが…。」

と聞くと、本田は、

「平林君が大変そうなのでオムツ交換手伝っていたの!」

と言うと、田中は、

「すみません!排泄介助は介護員の仕事なのに看護師さんに手伝わせてしまって!後は、私がやりますから…。」

と言って、田中が手伝い始めた。本田は、

「そう?じゃー、すみませんが、お願いします。」

と言って、居室を出て行った。田中は、本田が、出て行ったあと

「オムツ交換は介護員の仕事なんだから、看護師さんにやらせては駄目でしょ!看護師さんは、他の仕事で忙しいんだし、手伝ってほしいときは、私を呼んで!私が同じ時間帯の勤務なら、ピッチで呼んでくれれば、直ぐに来るから!」

と言った。僕は、

「すみません、本田さんが手伝ってくれるって言ったもんだから、つい甘えてしまって…。」

と言うと、田中は、

「本田さんが、手伝ってくれるって言っても断って!」

と強い口調で言った。僕は、

「分かりました…。でも、田中さんも忙しいし…。」

と言うと、田中は、

「忙しくても来るから!私は、あなたの教育係なんだし、呼ばれれば来るから!私を呼んで!本田さんじゃなく…。」

と言った。


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