義娘のつぼみ〜背徳の誘い〜
第2章 憧れの家族
「それなら全く問題はありません。俺、学生時代に両親とも事故で亡くしてるんです。親戚も遠方にいて、ずっと疎遠なので俺のことなんて気にも止めません。今は天涯孤独みたいなものなんです」
武司は身の上を包み隠さずに語った。
「そんなこともあって、俺は家族ってものに憧れを持っているのかも知れません」
子供のいる理恵と結婚することで、すぐに三人家族での生活を送ることができる。武司にとって、『子持ち』は全く短所ではなかった。
「この男性(ひと)なら――」
もう一度だけ、信じてみよう。武司の真摯な姿勢に、そう決意した理恵は彼との結婚に承諾した。交際を始めてから約半年後のことだった。
「茉由、この人が新しいお父さんよ」
武司との結婚を決めてすぐ、理恵は彼を自宅に招き、娘に紹介した。
娘の茉由は母親に似て、目鼻立ちのくっきりとした少女だ。艶やかな黒髪が肩まで伸び、肌は透きとおるように白い。まさに美少女と呼ぶに相応(ふさわ)しい娘である。
「茉由ちゃん、初めまして」
ぎこちなく、引きつった笑顔で、武司は彼女に挨拶した。
彼女も笑って迎えてくれるだろう――そう思った武司だったが、茉由はすぐに母親の背後に隠れてしまう。
(人見知りなのかな?)
それもあるのだろうが、このとき茉由は十二歳の小学六年生。思春期に入ったばかりで、なにかと扱いの難しい年頃だ。
「ほら、ちゃんと挨拶しないとダメでしょ?」
母親は語気を強めて言う。だが、茉由は武司に一瞥もくれず、そそくさと自分の部屋へ引き込んでしまった。
「もう、あの娘ったら。ごめんなさい」
「いえ。いきなり知らない男が現れて、この人がお父さんだなんて言われても、混乱して当然だと思います」
武司は苦笑混じりに答える。
「乱暴だった前の夫の印象をまだ引きずってるんだと思うわ。あの人とは全然違って、武司さんはこんなに優しい人なのに」
言いながら、理恵はため息をつく。
「時間は掛かるかもですが、茉由ちゃんからお父さんとして認められるように、俺、頑張ります」
武司が言うと、
「その次でいいから、いい旦那さんにもなってね」
理恵が熱っぽい瞳を彼に投げかけた。
武司は身の上を包み隠さずに語った。
「そんなこともあって、俺は家族ってものに憧れを持っているのかも知れません」
子供のいる理恵と結婚することで、すぐに三人家族での生活を送ることができる。武司にとって、『子持ち』は全く短所ではなかった。
「この男性(ひと)なら――」
もう一度だけ、信じてみよう。武司の真摯な姿勢に、そう決意した理恵は彼との結婚に承諾した。交際を始めてから約半年後のことだった。
「茉由、この人が新しいお父さんよ」
武司との結婚を決めてすぐ、理恵は彼を自宅に招き、娘に紹介した。
娘の茉由は母親に似て、目鼻立ちのくっきりとした少女だ。艶やかな黒髪が肩まで伸び、肌は透きとおるように白い。まさに美少女と呼ぶに相応(ふさわ)しい娘である。
「茉由ちゃん、初めまして」
ぎこちなく、引きつった笑顔で、武司は彼女に挨拶した。
彼女も笑って迎えてくれるだろう――そう思った武司だったが、茉由はすぐに母親の背後に隠れてしまう。
(人見知りなのかな?)
それもあるのだろうが、このとき茉由は十二歳の小学六年生。思春期に入ったばかりで、なにかと扱いの難しい年頃だ。
「ほら、ちゃんと挨拶しないとダメでしょ?」
母親は語気を強めて言う。だが、茉由は武司に一瞥もくれず、そそくさと自分の部屋へ引き込んでしまった。
「もう、あの娘ったら。ごめんなさい」
「いえ。いきなり知らない男が現れて、この人がお父さんだなんて言われても、混乱して当然だと思います」
武司は苦笑混じりに答える。
「乱暴だった前の夫の印象をまだ引きずってるんだと思うわ。あの人とは全然違って、武司さんはこんなに優しい人なのに」
言いながら、理恵はため息をつく。
「時間は掛かるかもですが、茉由ちゃんからお父さんとして認められるように、俺、頑張ります」
武司が言うと、
「その次でいいから、いい旦那さんにもなってね」
理恵が熱っぽい瞳を彼に投げかけた。