
狂愛の巣窟〜crossing of love〜
第7章 【あなただけのモノになれたら幸せなのです…】
「良いの?」
今更じゃない。
あなたしか受け付けないけど。
安心して、子供は出来ないから。
避妊リングしてることは誰にも言ってない。
「良いよ、亨さんだから欲しいの」
「もしデキたら……もう他の人とは…」
その先は言わせないように唇を重ねた。
「俺以外、させてないよね?」
ナマで…ってこと?
コクリと頷くと嬉しそうな顔。
ナカでまた大きくなった。
後にも先にも亨さんだけ。
いつも予定通り来る生理にがっかりさせちゃってごめんなさいね。
デキにくい身体だと判断してもらえたら助かるし、デリケートな問題だから深くは追求してこない。
妊活なんて、私には必要ないの。
有紗と一颯くんが居れば良いじゃない。
翌日もその翌日も、隣人さんはやって来なかった。
メッセージもなく、また引きこもっているのかしら。
音沙汰がなければ私から行くこともない。
亨さんが牽制したからヒヨっちゃったのかな。
それとも奥さまにバレそうだとか…?
どちらにせよ、去るものは追わない主義なので。
「ねぇ、十和子さん、コレとかどう?」
「え、私?」
「お出ししますね」と店員さんに出されてアタフタする私。
デートしよう、と一颯くんから連絡を受けてグイグイ引っ張られて来たけど、此処って……某有名なブランドショップだ。
恋人同士なら一度は立ち寄るかもね。
「ねぇ、買うなら私が買うよ?だって此処…」
人差し指で言葉遮られちゃった。
だって高いよ?どれも。
ピアスを耳に当てたりしてどれが似合うか見てくれてる。
「十和子さん、このブランドあまり持ってないでしょ?だから僕からのプレゼント」
再び言葉を遮られ「受け取ってくれなきゃ泣くよ?」って真剣なんだもん。
思わず笑って完敗です。
ここは一颯くんの男気に甘えさせてもらった方が良さそうね。
ふと耳元で「元カレとかと来た?」って確認してくるけど首を横に振れば嬉しそう。
その横顔が本当に亨さんと瓜二つで。
店員さんの前でも堂々と手を繋いで甘い声を出してくる。
やっぱり親子や年の離れた姉弟みたく見えるよね。
