狂愛の巣窟〜crossing of love〜
第8章 【戻れないのなら一緒に乗り越えてください…】
「絶対に今のパートナーと離れないって前提で言うけど良い?」
「はい」
ゴクリと唾を飲む音。
しっかり向き直して私に放つ。
「こんな事言うのはどうかしてるって思うだろうけど、これほど疼いたことはないの、私もあなたを……」
「え…?」
ちょっと待って、手握られてる。
目が真剣だし、え、これヤバいやつ?
逃げられない。
「あなただからこうして交渉してる……その、主人がシてたみたいに」
唇が近付いてきて思わず仰け反りそうになった。
でもここでも動揺したら負けだ。
いかに冷静に、素早い決断を。
「もしかして、私がその対象……ですか?」
「わかってる、頭ぶっ飛んでるよね?不倫相手の妻からこんな事……気持ち悪いって思うのも当然だと思う」
「えっと、正直驚いてますけど……」
凄い目が泳いでる。
かなり勇気もいっただろうな。
握り締めていた事に気付いてパッと離す。
「ごめん、やっぱり聞かなかった事にして」
「気持ち悪いとは思いませんよ?」
「え?」
「観てムラムラしてくれたんですか?怒りよりも?ご主人が私にシた事を奥さまも私にシたい……て事で宜しいですか?解釈合ってます?」
耳まで真っ赤になってコクリと頷かれた。
「えっと、それはつまり、女同士でセックスをする……ということですか?」
「最後まで…じゃなくて良い、私がシたいのは………クンニなの」
またもや豆鉄砲を食らう。
「引かないで」と裾を摘んでくる。
「相当勇気要るのよ、コレ言うの」って、そうに決まってる。
「聞くに堪えないでしょ」とも。
「いいえ、ただただびっくりしているだけで引きはしません」
そうか、クンニ………女同士で。
経験はと聞かれれば、後にも先にも有紗だけだわ。
自分の娘とそういう経験があるって、私たちこそ異常なんだ。
「構いませんよ」
「えっ!?」
あっさりOK出したのが効いたのか、再び手を握り締めてきた。
「本当に良いの?」と最終確認。
年下だけど敬語を使わないのはおそらく攻めに徹したいから。
私が受け身……で良いんですよね?
「その条件を飲んだら…?」