狂愛の巣窟〜crossing of love〜
第8章 【戻れないのなら一緒に乗り越えてください…】
わかっていながら言ったの?
スッキリした顔で何を考えてる?
いつかは離れる?
そうだよね、悠介くんなら自分の子供もそろそろ欲しいだろうし。
結婚願望がなくても、倅には会いたいかも知れない。
彼の人生を縛り付ける事は私には出来ない。
「十和子は十和子のままで良いよ、だからこれから先、間で苦しい思いをさせちゃうかも知れないんだけど、捨てずに俺の事今まで通り愛してくれる?セックスしてくれる?」
ポロポロと零れ落ちる涙を温かい指先が拭ってくれる。
うんうん、と頷いて抱き締め合った。
「泣いてる十和子も可愛い」とキスしたら硬さを取り戻してきた。
ただの不倫セックスから愛のあるセックスへ。
きっと彼はそうしたかったに違いない。
「別れたくないって十和子から聞けて俺めちゃくちゃ幸せだ」
「捨てないでって私のセリフだから……二度と言わないで」
「うん、言わない、ありがとう、大好きだよ」
「私も、大好き」
全部、全部。
一言一句漏らさないよう亨さんに報告する。
GPSも消さぬまま。
何もかも見られてるの。
後でバレるより逐一知られてる方がマシだもの。
あなたは知らなくて良いの。
知らないまま、不貞行為を続けてね。
だってその方が身の為よ。
見逃してあげるから。
あなたがちゃんと被害者面出来るように仕向けてあげてるの。
罰なら私だけが受ければ良い。
全てを失っても納得しなければならない覚悟でキミに手を出したのよ。
地獄に堕ちるのは私1人だけ。
いつか神様が天罰をくださるわ。
二度と這い上がれないような生き地獄を与えられるかもね。
おそらく亨さんも失うわ。
そうなれば私は………………
もう前に進むしかない。
後には引けない。
戻る道すらない。
例え相手が誰であっても。
私は息をする為に身を委ねる。
それの何がいけないの?
誰が私を止めれるの?
型に嵌まった人生なんて窮屈なだけ。
どうして息苦しい方を選択しなければならないの?
誰も理解してもらえなくても私は自分の道を選んでいくわ。
誰に邪魔されることなく生きてみせる。