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狂愛の巣窟〜crossing of love〜

第10章 【狂愛の巣窟〜ラスト・シーン〜】






鬱陶しいほどの独占欲で私を飲み込もうとする。
ドSだったりドMだったりとなかなか忙しい彼。
早めに終わらせたい場合は私がSになる。




目隠しを外して彼に着け、押し倒して挿入する。
触れようものなら払い除け
「ジっとしてなさい」
終わるまで指一本触れさせやしない。




「ねぇ、何で言う事聞けないの?私がイクまでイったら許さないからね?」




「ハァハァ、はいっ…!」




んふふ、バカみたいに興奮するのね。
あなたにサドは似合わないよ。
やっぱりこうなるんだから。
無理しないで最初からひれ伏せてれば良いのに。
あぁ、つまらないセックス。
放置確定。
もっと苦しんでなさい。




イクだけイって彼はイかせない。
ヒクヒクしたまま「1000数えて」
数えてる間に何度か捻ったり足で顔を踏みつけたりして。
数え終わる頃にはもう私は居ない。
極上の放置プレイでしょ。
“楽しかった”と置き手紙とホテル代を添えて消えてあげる。
連絡はしてこないでと教えてあるのでそこは忠実に守るよう躾けてある。
ただ、もうあなたは要らない。




信号待ちをしていると外も薄暗くなり空を見上げると厚い雨雲が。
走り出すとポツポツ降り出してあっという間にゲリラ豪雨に見舞われた。
慌てて走る人たち。
雨宿りしても結構濡れてる。
雷も鳴り出してフロントガラスに叩きつける雨。




タクシーにも列が出来てる。
駅前も帰るに帰れない人たちで溢れ返ってる。
早めに私も帰ろうとハンドルを切った。
でも、目に入ってしまった。
離れたところでシャッターの閉まった本屋さんの僅かな屋根の下でずぶ濡れになりながら雨宿りしてる1人の青年。
一瞬、雨足が弱まってはっきり見えた。




自然と目の前で車を停めてしまった。
もうじき帰らなきゃいけない時間なのに有り得ない。
クラクションを鳴らして知らせる。
助手席の窓から声を掛けるなんてどうかしてるかな。




「家まで送るけど、乗るー?」




顔を上げたキミは私を見てハッとしてる。
濡れてて謙遜してるけどあまり停めてもいられないから「良いから乗って」と急かした。
リュックを抱えたまま助手席に乗ってきた彼は髪も濡れててひたすら謝ってくる。








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