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狂愛の巣窟〜crossing of love〜

第10章 【狂愛の巣窟〜ラスト・シーン〜】






「とりあえずコレで拭いて」




ハンカチを渡して走り出す。
住所をナビに入れてもらおうとしたけど何だか言いにくそう。




「あの、今日明日くらいは帰れそうにもなくて…」




「え?何かあった?」




「いや、先週の土曜日、アパートの上の階から水漏れしちゃって、今修理工事中で……明後日には何とか終わりそうなんですけど」




「部屋の物とか大丈夫だったの?」




「いや、結構ダメダメで……あ、大家さんがある程度は保証してくれるんですけど」




「家に居れないんじゃ、その間どうしてたの?」




「あ……ネカフェでずっと居たんですけど何か居心地良くなくてカプセルホテル行こうかなって悩んでたらこの雨で……ツイてないっす、ハハハ」




「そっか、途方に暮れてるキミを拾っちゃったワケだ、私は」




「いや、本当申し訳ないです、濡らしちゃってすみません、あの、この辺のカプセルホテル調べます!」




「あぁ、ちょっと待って、それは追々で」




「え?」




「とりあえず、何処か入って拭こう、風邪引いちゃう」




「いや、僕なら大丈夫です、あまり風邪とか引かないし」




「ごめん、此処入るね」




「え?え?え?」




仕方ないじゃない、一番手っ取り早いし状況も状況だし。
ラブホの駐車場に入り、そそくさと部屋を選び連れて行く。




「あ、あの……」




エレベーターに乗って階を押す。
そうよね、この状況、良からぬこと考えちゃうでしょ。




「部屋入ったらすぐにシャワー浴びて?服乾くまで此処に居なさい、泊まりにしてあるから、お金は心配しなくて良い」




「あの、お金なら……その、僕が」




鍵を開けて部屋に入ると、目の前にドンと大きなベッド、大人の玩具や際どいコスプレ衣装まである。
バスローブとバスタオルを渡して入らせたはいいけど選んだ部屋をしくじったかしら。
ガラス張りで全部見えちゃう。
色々操作してたらくもりガラスになったのでひと安心。




まだ髪が濡れたまま出てきたのでドライヤーで乾かしてあげる。




「……慣れてるんですね、こういうところ」




ドライヤーを片付けているとボソッと言ってきた。








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