テキストサイズ

狂愛の巣窟〜crossing of love〜

第10章 【狂愛の巣窟〜ラスト・シーン〜】






「何でかな、どうしようもなく惚れてるんだ十和子に」




ダメ、また泣いちゃう。
泣く資格すらないのに。




「誰かに抱かれている十和子も途轍もなく綺麗だ……俺には見せない顔もする、俺には出来なかったイキ方をする、悔しいから壊れるまで抱いてしまう、最後に必ず俺に戻ってきてくれる十和子が俺にしか見せない顔でイってくれるのが増えていくたび嬉しいんだ……汚いのは俺の方だよ」




静かに首を振る。
亨さんは何も悪くない。
流されてきた私が一番の罰を受けるの。
ソファーから降りて床にそのまま土下座した。




「もう亨さんに愛してもらう資格はありません、どうかサインしてください……また用意しますので次はお願いします」




「何の真似?十和子」




「全ての罰は引き受けますので許してください」




「十和子?話をしよう、ちゃんと座って」




無言で首を振る。
面倒臭いと思われても曲げてはいけないと突っぱねる。




「十和子、ちゃんと俺の目を見るんだ」




頭を下げたままひたすら「ごめんなさい」と言い続けた。
肩を掴まれてもジャケットが落ちようと私は土下座をやめなかった。
謝っても償いきれないけど、本当にもう終わらなきゃいけないと思ったから。




好きだから、
愛しているから、
だからこそ、解放してあげたい。
歪んだ愛を糧にしてはいけない。
まだまともな判断出来ているうちに決断して。
お願い。




「十和子、こっち見て?十和子?」




頑なに拒むも無理やり引っ張られ「俺を見ろ!」と怒鳴られる。
萎縮してしまうほど亨さんの目は覇気を失い心底怒らせてしまったと涙も引っ込んだ。




「俺と離れる覚悟があるの?自分だけを責めて本質を見失っていないか?俺から離れたら十和子は生きていけないよ、誰かに身を委ねても死んでいるのと同じだ、後悔した時にはもう遅いんだぞ?その時には俺だって居ないはずだから」




「な………んで?」




涙を浮かべて優しく微笑む亨さんは、先程の覇気のない目から何かを悟り開いた目になっていた。
初めて亨さんの男泣きを見た気がした。




「わかるだろ……?十和子を失った後、俺がどうなるか」




嫌よ、その先は言わないで。
思わず裸のまま亨さんを抱き寄せた。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ