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狂愛の巣窟〜crossing of love〜

第10章 【狂愛の巣窟〜ラスト・シーン〜】






「今更何も怖くないわ、私が一番怖いのはあなたを失うこと……あなたを失えばお義父さまやお義兄さまにも会えなくなる、亨さんを愛しているのにまたお二方に抱かれたいって思う私もおかしくなりそうよ」





もう最初から禁じられた愛が交錯していたわ。
禁断の扉を開いてしまっていた。
そうしないとあなたが興奮しなくなったのも私のせい。
それでも手放さないと見えない十字架で雁字搦めにしたから。




「十和子……ごめん、十和子ごめん」




「良いの、私がそうしたいの」




「離れるな、十和子……」




「ふふ、離れません」




私の胸の中で静かに泣く亨さんが心から愛おしく思った。
私たちなら大丈夫。
確信しかありません。
離れる選択肢はないのですから。
今確かめ合って絆がまたひとつ生まれた。




普通の夫婦なら有り得なかった結末。
寝取られも寝取らせ願望も私たちだからこそ成り立った。
愛しているからこそ出来た、なんて誰ひとり理解し難いことなのも承知の上です。
寧ろ、理解されても困ります。
私たちにしかない愛し方なのですから。




「私………もう佐倉家だけで良い、他の愛は要らない」




「良いよ、十和子の自由だから」




「いつかはまた他の人に行くって思ってる?」




「どうかな、行っても行かなくても俺は変わらず十和子を想い続けるよ」




「いつか、罰が当たるかしら」




「そしたら2人で地獄に堕ちよう」




「誓うわ、私は亨さんを1人にはしない、この先もずっと…」




「あぁ、俺も誓うよ、何があってもこの先ずっと十和子を離さない」




あなたが居なければ、私の人生は死んだも同然だった。
あなたに見つけてもらえて、光が差して、花が咲いたの。
潤ったの、生きてるって実感出来た。




何があっても、前を向いていれたわ。
あなたに戻ることで、私は輝いていられた。




佐倉十和子にしてくれてありがとう。




綺麗な涙が頬に落ちてくる。
それは亨さんの涙だった。




「愛してる………十和子」




その言葉だけで充分。
ギュッと抱き締めて「出して」と囁く私の横顔は誰もが“美しかった”と言っていたそうです。
覚悟を決めた瞬間でしたから。







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