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主治医との結婚生活

第30章 羨ましい

佳真先生は 私を小学生扱いして茶化す。 
その証拠に 笑ってる。

「…寂しくないです!」
私も ちょっと笑う。

「具合い 悪いのかい? 萩原さんから連絡
貰ったよ? 旅行中 具合いが悪かったって?
まぁ… 奏真が一緒だから心配はしてなかった
けど…。」

佳真先生が チラリと奏真さんを見る。


ああ… 萩原さん!
佳真先生にまで ご心配を…!

私は申し訳なくて 縮こまる。


「移動疲れと 軽い熱中症だったよ。」

「そうか。 折角の旅行だったのにねぇ…」

奏真さんの説明に 佳真先生が同情する。


「…いえ   何か… 
暖菜 そんなに寂しかったかな… って。」

いつの間にか すやすやと眠る
暖菜を覗き込みながら 話を戻す。

安心しきった 顔をしてる…。


佳真先生は 声を立てて笑い出した。

「暖菜ちゃんは ママに甘えてるだけだよ!
2人がいない間、元気いっぱいだったよ!」

なぁ? と お義母さんに確認して 
お義母さんも 頷く。

「明ちゃんは 良いお母さんだ。よくやっているよ。
暖菜ちゃんは ママとパパに甘えられて幸せだ! ね?」 

佳真先生に微笑まれて 

頷く。 

「…羨ましいです。 」

晴菜の寝顔を見ながら 頭を撫でる。


私は… パパ をよく知らないし
ママは… 仕事が忙しくて
甘えられる 状況じゃなかった。

私の 根深い寂しさ と 甘え下手は そこから
きている。

大澤家の皆様は そんな私を 知っている。


「そう言えば… 明ちゃんは 奏真に会ってから 
泣かなくなったよね。」

佳真先生に 突然暴露されて …恥ずかしい。
私は 顔を 赤くする。

奏真さんは ちょっと 驚いた顔をした。

「成長したのかな…って 思ってたけど…
奏真の為 だったかな…?」

「…強くならなきゃ って、大人にならなきゃって、
思っただけです!」

コホンと 咳払いして 伝える。

ああ…  何だか急に 顔が熱い…!

テーブルの上の水を飲む。


「奏真の 為に?」

佳真先生は 尚も 聞いてくる。

私も奏真さんも 飲み始めた水を 思わず吐き出した。

「そ… 想像に… お任せ します…」 

涙目に なって 伝えると
佳真先生は ニヤニヤと 楽しそうにした。

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