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主治医との結婚生活

第32章 奏真と義母

結婚式当日は
ウチの両親と 明花ちゃんの祖母 百合子様
3人に見守られて静かに行われた。

挙式後

父親が1枚の封筒を 明花ちゃんに差し出した。

「? 何でしょうか…?」


受け取った封筒には

明花へ 

達筆な字が記されていた。

「! 母…から? 」

文字から人物を割り出した明花ちゃんは驚いていた。

「さっきね… 会ったんだよね…」

父親は 苦笑いをしていた。

「え…っ? 来てるんですか?!」

僕も全く同じ事を心で叫んでいた。

涙腺崩壊、再起不能 云々
言ってたじゃないか〜!!!!!


「いや… もう帰られたよ。
何だか遠くから双眼鏡で見てたから…
会ってあげたら? って言ったんだけどね…。」

ゔ〜ん…。

嬉しい気持ちと 悲しい気持ち…
そのまま 行動に出ちゃってる…。

ある意味 正直な人だ。

父親の言葉に 複雑な気持ちになった。



「…っ! おかーさんの ばか… !」

明花ちゃんが 顔を覆って静かに泣くから
思わず胸に抱きしめた。

上手くいかない… 複雑な親子関係…
これから 明花ちゃんと一緒に悩もう…
と 思った。



明花ちゃんは涙を落ち着かせると 封筒を開いた。


出てきた半紙を 広げると…

 
    月に1度は 帰っておいで


きれいな筆書きで ひと言 書いてあった。


「… もう! 果たし状みたい…!」

明花ちゃんの言葉に 父親が笑った。

「おしゃれな見た目からは 想像できないくらい
達筆だね…!」


確かに…! 
こんなに綺麗な字を書くなんて
ちょっと 想像がつかない…(笑)
さすが育ちの良いお嬢様!と 感心する。


「… 月に1度は 帰って来なさい って
自分の事じゃないのよ! ねぇ!」

百合子様の言葉に その場にいる全員が苦笑いした。




こうして梓さんは 僕の義母になった。

結婚した今でも
掴みどころが よくわからないけど…
梓さんなりに 僕を歓迎してくれている様だ。


明花ちゃんは 今でも 月に1回は
実家に帰るようにしている。

「母も仕事しているし、 毎回大掃除しに 
帰っているで 嫌になっちゃう…!」

ぷりぷり 怒りながらも 律儀に帰る。


昔の明ちゃんからしたら
明花ちゃんは 大分落ち着いたよな…

明ちゃんに よく似た
お義母さんを思いながら苦笑いした。

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