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主治医との結婚生活

第11章 激情

「無理させちゃった…。ごめんね…。」

奏真さんの謝罪に 私は 笑いながら怒った。

「本当だよ…! 元気だったらもっと怒ってる!
(笑)」


奏真さんは 何も言わずに ぎゅうっと私を 
抱きしめた。


「…怒ってたんでしょう? あのお客さんに…」

「…うん。」

私の言葉に 今度は 正直に 答えた。


奏真さんは 実は 独占欲が強い。
それを思い知ったのは 
私の初恋相手が 奏真さんではない と奏真さんが知ったとき。
アノ時は まさに 抱き潰された。

でも 私は 何も 悪い事はしていない。
今回だって…  私は寧ろ あのお客さんを 
嫌がっていたのに…

理不尽…! のひと言に 尽きる。

まぁ 奏真さんも解っていて
だからこそ こうして謝ってくるのだが…

その時は 気持ちを止められない様だ。


「明花ちゃんが 他のヤツに 見られてると思うと 
気が狂いそう…」

もう 狂ってるね… (笑)
心の中で突っ込む。

「あの子… あの男の子も 明花ちゃんの事を 
気に入ってるんだね…」

男の子…? 奏真さんの言葉に 頭を巡らせる。

「? もしかして 煌大くんの事…?」

奏真さんの頷きに さすがに 呆れた。

「煌大くん は 歳だって離れてるし…
その 嫉妬は さすがに 酷い… (笑)」

不意に キスされて

驚いて 奏真さんの 顔を 見れば…

不満気な 顔

小さい子が 駄々を捏ねる様な…

その顔が 普段見ない表情で
ちょっと かわいい… 
とか 私も 思ってしまう…。


「こんな オバサン 相手にしないって…」

「明花ちゃんは 誰が見ても 可愛いもん。」

「ソレはさすがに イタイでしょ…(笑)」

奏真さんは寝ている私に ぎゅっと抱きついてくる。 
本当に… 子供みたいだ。

「…だからって 辞めないよ?」

奏真さんの頭を撫でて伝える。

「うん。 わかってる。 心配だけど…
明花ちゃんのやりたいことを 応援したいから…」

「…奏真さんの方が 重病になってきたな…」

「うん。 医者も普通に 病にかかるからね。
患者さんと接していたら 感染リスクも高いし…。」

体を離すと 奏真さんは 私を見つめて
頬を撫でる。

愛おしそうに 慈しむ… って感じ?
大事に想われている事だけは 伝わったから…
昼間の抱き潰しは 許してあげるわ…

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