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いつかの君に感謝を

第5章 先生の思い、そして診察


「舞?今から腫れが広がっている範囲診るから痛いと思うけどちょっとだけ頑張るよ」


玲央は舞の反応を待たずに診察を進めた。腫れている部分から少し離れた場所を円を描くように舞の表情を確認しながら優しく押し進めた。


いつまで触られるの。もう嫌なんだけど。舞がそう思っていると急に鈍い痛みがした。


んッ……痛いッ……


玲央が腫れている中心から半径3cmぐらいの場所を押すと舞の体がビクッと動いた。それに加え、舞の顔にも一瞬苦痛に耐える表情が浮かんだ


「ここ痛い?」と玲央はその場所を優しく軽く押して舞の表情を確認しながら優しい声で聞いた。


先生が私の痛い部分を押す手は痛みとは真反対でとても優しかった。舞は玲央の優しさにつられて静かにうんと頷いた


「ここ痛いな。今から痛いと思うけどちょっとだけ頑張るよ、ごめんね〜」

玲央は舞が痛がる部分を円を書くように優しく軽く押し進めた。舞は玲央の手が腫れた部分に当たる度に苦痛の表情を浮かべた。


んッ……イタイ……んッ、いッタイ……


玲央が優しく押す度に、鈍い痛みが体に走り耐えるのも限界に近づいてきていた


そして玲央が腫れている部分の中心から少し近い部分を軽く触ると舞はビクッと体を動かし、咄嗟に玲央の腕を掴んで涙目で玲央の顔を見た。

それはまるでもう辞めてと訴えているように……


「大丈夫。もう先生診察は終わりにするからね?よく頑張りました!先生の手離してくれる?」


玲央は舞に掴まれていないもう片方の手で舞の頭を撫で安心させるように優しい声で舞の目を見てニコッと微笑んで声をかけた。そして舞もすぐに手を話して顔を背けた。


「離してくれてありがとう、まい?もう少しだけ頑張れる?」


舞は薄ら涙が浮かんだ目をしたまま横を向いて布団を被った


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