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幸せな報復

第17章 双子誕生

 けだもの族のメスは動物界では腕力、知力が突出していた。筋繊維を太くする進化を遂げた結果だ。そのエネルギーを筋肉に向けたためか心はさらに凶暴性、残虐性を加速させた。まさに、破壊的なパワーを備えた筋肉を操作できる身体能力を生み出した。
 しかし、標準的なオスと比較すれば骨格、体躯が小ぶりであった。これには理由があった。けだもの族にはオスが生まれない。だから、けだもの族のメスはオスを欲情させ繁殖させる必要があった。そのため、オスが視覚的に興味を引く外形にする必要性があった。そこで、けだもの族のメスは妖艶で美女と言われる容姿を形成した。それに引きつけられた結果、捕獲されたオスは、メス5匹に体の至る所に快感を与えられ虜にされて逃れられなくなった。小椋海星もその一人になるはずだったが、けだもの族を上回る怪物・海星に沢子を発端に狂わされていく。
 強靱な体を獲得したメスといえども、オスの腕力には同数では互角だった。その欠点を補ったのが5人で1グループだった。5人から繰り出される連携した武術の技は人間の武術家を凌いだ。
 しかし、複数のオスとでは勝てないときもあった。そこで、彼らは一人になったオスを攻撃するという卑怯な手段に行き着いた。
 5人の力を上回るオスは、当然ながら今までも存在した。けだもの族はそういう強すぎるオスは性奴隷の候補として教育が不可能ということで除外していた。けだもの族の鍛え抜かれた観察眼をもってして海星の恐ろしさを見抜けなかった。悪賢い海星の恐ろしい能力は底なしと言えた。
 海星は捕縛した沢子からけだもの族の存在を知り、沢子を筆頭にけだもの族を配下にする計画を企んだ。沢子を調教し従順にさせ、子をはらませ、子をうませると、その子を命令に従うよう調教することにした。やがて、その子をけだもの族のドンにし、けだもの族を使って世界征服を目論んだ。
 時は流れ、海星の思い通りに教育した仁美は海星の計画通りけだもの族のドンの地位に就く。
 しかし、海星の予想を覆し、理由も分からず仁美はけだもの族のドンの地位を捨て消えてしまった。

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