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幸せな報復

第5章 落ちたカバン

 散々、ネームプレートで迷惑を掛けたんだ、迷惑ついでか、と彼は彼女に対し大胆になっていた。彼女は苦しそうな顔をしていたので彼は彼女に頼む位置が彼女の気分を損なった、と確信した。彼女の首筋で頼むなんてお願いする態度でない、と彼は後悔したが、別の考えが思いついた。しょっとすると自分の口臭がくさかったので顔をゆがめていたのでは、とまるで見当違いなことを考えていた。
 彼のはく息を首筋に掛けられていた彼女は膝がガクガクしていた。彼女には男性から息を吹きかけられるという行為が初めてで体がゾクゾクと体が反応してしまっていた。彼女は首を上げてあえいだり、下げたりし腹筋に力を入れていたが、もう、限界だった。彼女は上下に首を振った。彼女は感じやすい体質であることを初めて知って驚いていた。彼女の苦悶に満ち表情を見た彼は、彼女の苦痛を早く終わらないといけない、と速攻で体を下げていった。
「あれぇー あっ、もう少しです、後もう少し、うーーん、ごめんなさい…… 後もう少しで届きますーー」
 彼女の白い首筋が目の前にあった。ほんの一瞬下げれば握ることができる。彼はその一瞬に賭けた。さらに膝を落とすことにした。しかし、彼は今までの彼女への行動で神経をすり減らし、そんなわずかな動きを制御できるほどの集中力が彼にはなくなっていた。彼はガクンと勢いよく膝が折れてしまった。その結果、あごは勢いよく下がり彼女の乳房の上に着地した。そして探り当てていたカバンの取っ手の位置が分からなくなってしまった。彼はあわててカバンの取っ手の位置を手で探り始めた。こっちか、あっちか、彼は彼女の乳房の上で彼のほおとあごを押し当てて探した。彼はすっかりカバンに気を取られ彼女の乳房をあごでグリグリと圧迫させていることを知らなかった。彼女は彼のあごとほおを使った超絶刺激で限界寸前だった。
 彼女が限界に達する前に、彼はカバンを拾うことに成功した。「やったぁー」と彼の気分は最高潮だった。自然に顔が幸せいっぱいモードになった。しかし、彼女に向けたその笑顔は、苦悶の表情をした彼女を見て一気に消沈した。
 彼は変な動きで彼女に多大な迷惑を掛けたことをたった今し方理解したが遅すぎた。
「もしかすると痴漢をしていたと思われたかもしれない……」

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