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　勘太郎は勤務先のスーパーに到着し制服に着替えるためロッカー室に入った。着替えながら今朝のことを思い出していた。女性の手を握った。紛れもない痴漢行為だ。なまめかしい手の感触がよみがえった。
「ふぅ、妄想で良かった……」
　彼はそう考えながら制服に着替える。右手の手首に痛みを感じてワイシャツの袖をめくり手首を見た。手首に薄く内出血している痕があった。彼はそれを見て心臓が止まるほど驚いた。
「僕はやはり彼女の手を握っていたのか。この皮下出血は彼女の握り返した痕か……」
　彼女は渾身の力で握り返したに違いない。うっすらと手首が赤く炎症した筋が横に現れていた。彼は着替えの途中でどうしたらいいか分からず途方に暮れた。
「妄想ではなかった……」