幸せな報復
第14章 家族
浩志の母親は彼が2歳の時交通事故死して以来、父子だけで生きてきた。自分とは生き方が違っていることを改めて知った。そんな誠実な生き方をしてきた彼がなぜあたしに痴漢をしたのか、恵美は疑問だった。ホームでなぜあたしの後ろに並んで接近してきたのか、と思いながらも恵美はうれしかった。自分の体に触れてくれた。恵美は触れてもらうことがうれしいことが自分ではないように感じた。以前のあたしなら相手の手首をねじ上げていた。それをせずに身を任せていた。あたしはなんて淫らなエッチな女だったの、と最初の数分は自分に嫌悪したほどだったが、その感じ方も電車が進むうちに嫌悪を感じなくなりもっと触れてほしくなっていく。エッチな自分が信じられなかった。最後、彼に全身を預けてもいいような快感で一杯になりそうだった。あんな満員電車で失神していたら大変だった、と思った。