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「恵美さん……　すまない……　ほんとにすまない……　きみにあんなことをするなんて……　すまない」
　勘太郎は恵美にうわごとのように言った。
「お父さん、いいんです。もう、いいんです。お父さんと出会えたのですから……」
　恵美が勘太郎の右腕を持ち上げて首を腕の下に入れて左肩で背負った。恵美はワザと自分の豊満な乳房を勘太郎の右脇腹に押し当てた。恵美はさらに左のほおを勘太郎の右の胸に当て前歯で大胸筋を軽くかんだ。「痛い」と勘太郎が小さなうめき声を上げた。勘太郎に痛覚がまだ残っていた。彼はこの状況でなぜ痛いのか、理解できなかった。
「お父さん……　わたしってほんと悪魔ね……　こんなに弱っているのにこれ以上、お父さんに報復したら可愛そうよね。お父さんはあたしに触れないよう我慢なさっていたようですけど……　お父さん、こんなに体を密着させていますわ。ねえ、どうかしら？　体で触ったあたしの体はどんな感じですか？　あたしもこんなにくっついていて……　こうして体をすりあわせていると……　なんか……　変な気持ちになって来ちゃった……　実はこれでもわたしの心臓はドキドキなんですよ……　もう……　パンクしそう……　でも……　きょうのところは……　わたしも我慢します……　そうですね、どうか……　ゆっくりお休みなさって……　元気になったらまたたっぷり報復して差し上げますから大丈夫ですよ……」
　まぶたを閉じたままの勘太郎は恵美に肩を借りてゆっくり歩きながら寝室に入りベッドに横になった。彼女は仰向けに寝かせた勘太郎を見つめながら肌掛け布団を勘太郎の首元まで引き寄せた。
「お父さん、今はお疲れになった体をしっかり治しましょうね……　わたしも大好きなお父さんのため何でもして差し上げますからいつでも気軽に遠慮なさらずおっしゃってくださいね。お父さんの一番あたしにしたいこと……　あのときみたいに触ってもいいんですよ」