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幸せな報復

第3章 田所恵美の通学

 彼女は心中で絶叫していた。
 彼女の下半身は小さくカタカタ震えていた。男は首筋にあった顔を彼女の肩口に移動させるとくっつけてきた。
「あれぇー あっ、もう少しです、後もう少し、うーーん、ごめんなさい…… 後もう少しで届きます」
 そう言うと男は拾おうと体をさらにかがめてきた。男の顔が肩口からさらに降りてきて彼女の胸に押し付けるような格好で止まった。男のほおが彼女の胸の上でグリグリと小さく圧迫してくる。乳房がほおでもまれているような気持ちのいい刺激が全身に襲ってきた。
「うぅーーうー もー やめ……」
 彼女の心臓が爆発しそうに速まっていた。やめて、と叫びたかったが、声が出せなかった。彼女は下を向きながら耐えていた。彼女はデルタエリアに違和感を抱いていた。
「もうー や…… や……」
 男は執拗にほおを彼女の胸に押し付けていた。
「やー もーー」
 彼女は唇を固く結んでこらえた。
「あっ、ありました。カバンつかめましたぁー」
 そういった瞬間、男がほおを乳房から離した。彼女は刺激を受けていた乳房の快感がなくなり目を開いた。あごを乳房に乗せた男は彼女に言った。
「後は引き上げるだけです」
 そういう男の顔を見た彼女がびっくりした。男があまりにも幸せそうな顔をしていたからだ。
「えー 何なの このうれしそーな顔は……」
 彼女は男の幸せ最高潮という顔を見て唇を固く結んだ。
「もしかして…… あなた…… 痴漢じゃなくて…… ほんとにプレートやカバンが取れてうれしかっただけな訳?」
 彼女は男を見てあきれるように口を僅かに開けた。自分だけ感じてしまっていたことを知り恥ずかしくなった。

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