
ふざけた奴等
第2章 慣れと飽きの境
結局やることもないので川沿いの公園にでも行こうと、商店街を抜けているときだった。
携帯が三人同時に鳴る。
「なぐっち着メロまだその交響曲なの」
「こたろんのレベルアップよりはましだろ」
「そろそろ99レベ超えるからオーバードライブしないとなんだよな」
ホーム画面からチャットアプリを開く。
差出人不明のメッセージが一件。
「なにこれ」
いち早く竜也が反応する。
「一文字だけなんだけど。いって文字」
「オレもだ。おって。悪戯だろ」
二人の画面を覗く。
それから自分のを確認した。
「で?」
「これさ、繋げると」
カランと後ろから音がして振り向く。
ざわざわ首に鳥肌が立つ。
それは小さな小さな少年。
ニット帽にだぼだぼのトレンチコートのポケットに両手を突っ込んで。
なんだ。
こっちをじっと見てる。
幼い唇がふわりと開く。
「おいで?」
視界が端から削ぎ落とされて、黒く染まっていく。
なんだこれなんだこれ。
「ちょ、なぐっち! 手どこ」
「ここだけど!」
「見えねえんだよっ」
「なにあいつ、気持ち悪」
「ヤバくね?」
「あ、オレもう真っ暗だわ」
「こたろん、手握ってるから」
「やん、なぐっち。イケゼ」
「なんだそれ」
「イケメンゼリフ。略してイケ……」
途切れた。
意識も一緒に。
