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ふざけた奴等

第2章 慣れと飽きの境


 慣れと飽きの境。
 こいつらとの付き合いはそんなところ。
 高校までつるむ仲間も作らずに来た俺にとって、初めての気兼ねない居場所。
 ついてけねえのが八割だけど。
 そのくだらなさに浸ってる。
「友達できたなら、呼べば良いのに」
「呼べる家じゃねえじゃん」
 足の踏み場もないリビングを指差して。
 昔からこうだ。
 片付けても片付けても。
「あら。そんなにひどい?」
 そんなんだから親父にも逃げられたんだろ。
 っと。
 禁句禁句。
 竜也の家に行ってからは尚更呼ぶなんて夢だと思った。
 あの大豪邸見せられてどの面下げてって話だよな。
 小太郎は一回だけ家を空けてくれたっけ。
 普通に整ったフローリングの部屋。
 それすら羨ましかった。
 家より落ち着く居場所。
 やっと見つけたって。

「お兄ちゃん何でもしてあげるよ!」
 口を解放したとたんこれだ。
「本当に?」
 ガキも嬉しそうにするから。
 そんな笑顔で。
 殺傷力自覚してんのか。
 飛び出した小太郎がくたりと倒れこむ。
 orzの形になって。
「やべぇ……知念市の市民権どうやったら手に入れられるかな」
「現実見ろ」
 ある意味この状況もこいつらと一緒で良かった。
 一人で来てたら確実狂ってる頃だ。
「あのさあ、早雪くん。僕的には早く帰って爺と遊びたいんだけど、こたろん置いてくからそれでどうにか帰してくれない?」
 さらりと売りやがった。
 竜也。
「笠羽兄ちゃん……街には金さんもいるから大丈夫だよ」
「どういうこと?」
 やっと動揺を見せた。
 前から思ってたけど、金さんの存在って本当に大きいんだな。
 俺らよりずっと。
 なんかむかつく。

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