クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第10章 ムーンブレイド
湖岸沿いの山々が焼かれていく光景を上空からオーロラたちが眺めている
フェニックス級〈イビザ〉のブリッジでは相変わらず無表情なオーロラ・ニーシュラと反対に楽しそうなエミリー・バリーの2人の将軍が並んでいた
「おやおや、派手にやってるわねぇ?
あのコ初陣のわりにハチャメチャね
山がいくつも丸焼けになったわ
バクーの景観も台無しね」
ブリッジのひときわ高い場所に浮かぶように並んだ艦長席に座っているエミリーは焦土化した外界を眺めながら楽しそうに笑っている
「たかだかビーム砲の乱射程度よ、驚くようなことではないわ、まだ何も使ってない
まだ何もしてないのと一緒よ」
オーロラは冷たく言い放った
「なによぉ!反応が薄いわねぇ!
他人にマシンをとられて不服なんだったらアンタがやればいいじゃない?
アンタならもっとえげつない事までやるんでしょう?」
「勘違いしないでエミリー、あのマシーンはもうわたしのモノではないわ
今日からあのコのモノ、
もうわたしには扱えないもの
わたしはオトナになってしまった
あのマシーンにはもう乗れない」
オーロラは悲しそうに眼下に広がる灼熱の地獄絵図を見つめていた
カタストロフマシーン〈ムーンブレイド〉
〈エターナル・チルドレン〉のみが操れる巨大兵器
そしてオーロラにとっては過去との決別にも思えるものであった……
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