クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第10章 ムーンブレイド
宇宙戦艦ほどの巨大な大きさのムーンブレイドから無数の脚が伸び、本体を浮かせるように立ち上がろうとするその姿はまさに異様だ
〈ストーム〉が空に浮かぶ不可思議な物体だとすれば、〈ムーンブレイド〉は地を這いずりまわる異質な姿
まるで空の神と地の悪霊とでも言うべきか
まだモビルスーツなどがこの世に生まれる前に作られたであろう過去の遺跡、過去の遺物
呪われた大地の裂け目から這いずり出てきたような〈ムーンブレイド〉は周りの木々をなぎ倒しながらダム湖のほとりから上陸する
アルメニア連邦軍のモビルスーツ中隊は編成を組み替えながらも集中砲火を続けるものの、何の効果も得られなかった
すべて表面の電気的なバリアーで攻撃は封じられ、成すすべもない
そのとき、脚のひとつが持ち上がり敵の方へ脚先を向ける
まるで指差すように
するとあっという間に脚先が光り輝き
一条の光線を放った!!
戦艦並みのメガ粒子砲!!
正面に居たモビルスーツはあっという間に蒸発した
その脚先は一本から二本、二本から三本と増えていき周囲を焼き尽くすかのように全方位照射の攻撃を始める
次々とモビルスーツたちが爆散していく!
それは一瞬の出来事だった
湖の周りの山々は炎に包まれていた
上半身が吹き飛ぶモビルスーツ
コックピットが焼かれるモビルスーツ
空の足とも言えるSFSベースジャバーに戻れず地表に叩きつけられたモビルスーツなど悲惨な光景であった
かろうじて軽傷で済んだものは幸運だ
アルメニア中隊はほんの僅かな時間で壊滅的な状況となってしまうのだった
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