クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第11章 眠り姫
ハルフォードが若かりし頃、
とある任務遂行のためトルコ軍の中隊を率いる血気盛んな部隊長であった
戦果を次々と挙げていき、若くして出世したこともあって周りから野獣のように思われていた
「死の番人」と呼ばれ敵対するするものたちをなぎ倒していった
今のようにトルコとアゼルバイジャンが連携をとって共闘したときも彼が部隊を指揮していた
暗躍するブルガリア連邦軍、そしてアルメニア連邦軍それらを蹴散らすようにトルコ軍とアゼルバイジャン軍は戦っていた
ちょうどアゼルバイジャンに侵攻してきたアルメニア連邦軍は国境あたりの山岳地帯で互いの力が拮抗して身動きがとれなくなっていた
そこへ加勢に現れたのがハルフォード中隊長率いるトルコ軍だ
ハルフォードは雪山のなかで「スパイ狩り」を始めた
山岳地帯に点在する田舎の集落を焼き払う
本当にスパイが潜伏しているかはどうでもよかった
見せしめだ
村々を焼き払っていくたびにハルフォードの「死の番人」の通り名が広がっていき、敵対するものたちを庇う者が減っていくのだから
ハルフォードはただ暴君のフリをするだけでよい
こうして国境沿いの山岳地帯の集落はハルフォードの思うがままになったのだった……
これは若かりしハルフォードの物語り
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