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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第11章 眠り姫


「それで? お前たちはムーンブレイドを求めているのか?」


「当たり前だ、私だけじゃない、世界中の軍事勢力がわが手に収めようと暗躍しているのよ」


「たしかにムーンブレイドは此処に埋まっている、だが操る者が居なければ意味がない
 もちろん私にもコントロールは効かない
 多少のシステムぐらいまでしか」


そこまで話しをしたとき、キアラと呼ばれた女は突然ブルブルと震えだした


「なんだ?どうしたんだ??」


アトキンスが慌て始める


「そろそろ戻らなければ、少し離れ過ぎたな」


キアラは外を気にし始めた


理由はわからないが埋まっているムーンブレイドと呼ばれる機体と一心同体のような気がした


キアラは床に座るアトキンスに近づき腰を落とす

「済まなかったな?名前は?」


「アトキンス」


「そうか、また会えたらいいな」


そう言ってキアラはテントを出ようとした



その瞬間!


テントの外がサーチライトで照らされ、内幕のシートが光りテント内が明るくなった


トラビスがテントから顔を出すと百名ほどの武装した兵士たちに取り囲まれていた


正面の兵士たちが横にずれると奥から上官らしき者が進み出てきた


ハルフォード大佐と部下のオーウェンだ


トラビス、キアラ、そして脚を引きずったアトキンスも外に出る


「でかしたぞ、トラビスッ!
 アレの監視だけでなくキアラまで接触に成功するとは! さすが諜報の者だなッ!」


声を高らかに叫ぶのはハルフォード大佐だ


「だが貴様の正体もすでに調べきってある!
 このアナハイムのスパイめッ!
 私を出し抜こうとしてもそうはいかんッ

 キアラ……、キミがキアラだね?
 我々は呪われた運命からキミたちを救うため!保護するために会いに来たのだ

 長い間大変だったな、キミの任務は全うそれた、キミは任務をやり遂げたのだ

 あとは我々に任せなさい」


ハルフォードがゆっくりとキアラに歩み寄る

キアラは警戒した視線を送るのだが、待ちわびた言葉を掛けられて実は動揺していた

任務完了、その待ちわびた言葉は彼女の感覚を麻痺させた


ムーンブレイドに戻る限界を超えてしまっていたのだ


キアラは気絶するようにゆっくり足元から崩れ落ちる

それをすかさずハルフォードが支えてやる


眠り姫を手に入れたのだ……

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